お役立ちコラム
COLUMN
2.感染症予防のポイントは「拡げない」こと
2020年11月30日
感染症対策のポイントは、どんなに対策をしていてもかかってしまうことがあると考えて行うことです。つまり、感染症にかかってしまうリスクを「ゼロ」にすることではなく「できるだけ下げる」ことを目標にするイメージです。かかってしまうことを悪いとするのではなく、それを多くの人に「拡げない」ことも立派な対策です。今回はこの「拡げない」対策について考えてみましょう。
「拡げない」ことが大事!
新型コロナウイルスの大流行では「クラスター」という言葉がたくさん使われました。本来のクラスターの意味合いは「集団、塊」ですが、それを「集団感染」という意味合いで使っています。感染症予防の基本は感染ルートの遮断とともに、いかに感染者と感染していない人を分けるかがポイントとなります。そのために必要なことは感染しているかどうかを知ること。知らないと分けようがないですよね。
例えばインフルエンザにかかった時も、部屋や階を分けたり、食器やタオルを共用しないようにすることもその一つ。今回の新型コロナウイルス対応では、病院に行くタイミングをめぐって賛否両論がありましたが、治療・検査方法が確立していない中で、感染していることを知ることが難しかったことは確かです。
新型コロナウイルスはここがやっかい!
新型コロナウイルスに限らず、ウイルス性感染症には潜伏期間というものがあります。これはウイルスに感染してもすぐに発症するわけではないため、まさに隠れているような期間です。その間は感染している人自身も気づいていません。インフルエンザやノロウイルスの場合、潜伏期間は1~2日と短く、そのため感染したことに気づくまでの時間も短くなります。今回、濃厚接触者という言葉も飛び交いましたが、気づくまでの時間が短いということは、濃厚接触者の数も限られますし、追跡しやすくもなります。
しかし、新型コロナウイルスの場合、この潜伏期間がかなり長いということが大きな特徴であり、そこがやっかいなところです。まだ正確な情報はわからないですが、平均5~7日、長い場合は10日以上という見解もあるようですから、インフルエンザの数倍はあるわけです。気づいていなければ当然普通の生活をしますから、濃厚接触者も増えますし、追跡することも大変になります。
予防のポイントを理解しましょう
では、新型コロナウイルス対策として私たちができることは何でしょうか? 少なくとも流行している時期には、「ひょっとすると私も感染しているかも」と想定して行動することです。必要な社会活動は当然してもよいわけですが、感染しているかもしれないことを前提に行動する。あるいは、自分の周囲の方が感染しているかもしれないと想定して行動する。また、それぞれの感染ルート別に「細菌・ウイルスが伝わりにくいようにする」対策をつみかさねることです。
飛沫感染対策としては距離をとること(=ソーシャルディスタンス)、換気、マスクなどで自分から拡げない(あるいは、受け取るリスクを減らす)ことです。接触感染が比率としては高いと考えられていますが、手指の消毒、人が触れたものの消毒、そして共用するものをできるだけ減らす。それぞれの詳細はさらに別の機会でお話しますが、これらの予防を日常生活の中で実践することが「拡げない」ために大変重要です。そして、これは、他の感染症についても同じことが言えるのです。