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1. 「ウイルス」「感染症」って何なの?どう対策すれば良いの?

2020年8月24日

1.	「ウイルス」「感染症」って何なの?どう対策すれば良いの?

 

感染症について「わかる」ことから始めましょう

今年は例年にも増して「ウイルス」や「感染」という言葉を耳にします。なんとなく小さくて目に見えないものに襲われて、病気になってしまうという漠然としたイメージがあっても、本当のところはよくわかりませんよね。この「わからない」ということが不安を掻き立てることにもつながっています。逆に言うと、ウイルスや感染症についてわかれば対策を立てることもできますし、そうすれば不安に感じることも少なくなると思います。そこで本企画では、ウイルスや細菌による感染症について、「なんなのか?」「対策として何ができるのか?」「どうしてその対策は有効なのか?」を知っていただき、皆様お一人お一人の行動につながる情報をご提供したいと思います。完璧な対策はなくとも、リスクを下げることはできるのです。

感染症はなぜおきる?

感染症とは「環境中に存在する、病気の原因となり得る微生物などが、生きたヒトや動物等の体内に侵入して引き起こす疾患の総称」です。原因となるものとしては、ウイルス、細菌以外にもカビや酵母などの真菌もあります。それぞれ違いがあるのですが、ただ今は圧倒的にウイルスによる感染症が広がっていますので、特にこれを知ることが大切ですし、皆さんの関心も高いと思います。

ウイルス性感染症はこうして拡がる

「病気の原因となりえる微生物など」とひとくくりにしましたが、ウイルスとその他の微生物では決定的に異なる点が一つあります。一般的に、ウイルスは微生物に含まれて呼ばれることも多いですが、厳密には生物(=生き物)ではありません。生物の定義はいくつかありますが、「自分で増えることができるかどうか」というのがひとつのポイントとなります。ウイルスは自分たちだけでは増えることができず、子孫を残すこともできません。そこでヒトをはじめとする他の動物等の生きた細胞を利用します。これらの体内に入り込み、細胞の中に侵入します。これが感染です。
そして、あろうことか、その細胞の中の遺伝子を利用して自分たちの遺伝子を強制的に増やし、増えたらその細胞の外へ出ていきます。用済みとなった細胞は壊れて死んでしまいます。一方、出て行ったウイルスは別の細胞へ侵入してどんどん自分たちを増やし、体内で拡がっていきます。さらには体の外へ出されるように仕向け、次のヒトや動物等へと入り込み、感染症はどんどんと拡がっていきます。

ウイルス性感染症の例

ウイルスの種類によって利用する細胞は決まっています。
例えば、インフルエンザウイルスやコロナウイルスの場合は、のどや気管支の粘膜などの呼吸器系組織を利用します。そして、激しい咳やくしゃみ、発熱などの症状を引き起こします。
他にもうひとつ、有名なウイルスとしてノロウイルスがありますね。ノロウイルスは消化器系、具体的には小腸の細胞を利用し、これにより激しい下痢や嘔吐などの症状を引き起こします。
感染症は本人がつらいだけでなく、周囲の人たちへ拡がる可能性もありますので、正しい予防と対策が必要となります。

感染経路

微生物によっては皮膚などから侵入するものもありますが、圧倒的に多いのが粘膜などの繊細な(やわらかい)組織です。特に外の世界と近い場所が口・のど、鼻、眼など。この入り口からの侵入をシャットアウトすることが感染症を防ぐ大事なポイントです。主な感染ルートとしては、空気感染、飛沫感染、接触感染、経口感染、血液感染の5つがあります。細菌・ウイルスはこれらの道筋を活用して拡がろうとするわけですから、私たちとしてはこれらの道筋を遮断することが対策になるわけです。

感染予防で効果を上げるには「総合的」な対策が大事!

不安になると、「これをやっておけば大丈夫!」という特効薬みたいなものが欲しくなりますね。確かに完璧な感染症を予防する対策があれば安心です。しかし、残念ながら「これだけでリスクゼロ」という対策はありません。なぜなら、ウイルスも(生き物ではないですが)必死に遺伝子を残そうとしますので、作戦を変えながら挑んできます。例えば、ウイルスが変異するのはその作戦のひとつ!しかも感染ルートは複数あるわけです。
私たちができるのはその複数あるルートそれぞれを遮断する作戦を組み合わせること。それによって完全にリスクをゼロにはできないかもしれませんが、リスクを大幅に下げることはできます。このさまざまな対策を組み合わせることによって自分たちを守っていくという考え方が大事なのです。